趣味としてのジャグリングについて

 趣味としてのジャグリングの世界、というものを想像できるでしょうか。
 ほんの一昔前(だいたい、20年くらい前)まで、日本におけるジャグリングの一般的な認識は、大道芸人が見せる芸、程度でした。
 実際その認識は劇的に変わることなく、2016年の今でも、ジャグリングを見ると「パフォーマンスをされる方なんですか?」という質問がまず真っ先に飛んできます。
 筆者は確かにパフォーマーとしての顔も持ち合わせているので「はい」と答えますが、たとえばあなたがもし首都圏にある大学に行って、ジャグリングをしているひと(通常ではない軌道でボールを投げていたり、大きなヨーヨーだろうと判断できるようなものをあまり見たことのない軌道で動かしていたり、紐の先に玉や尾ひれのついたものを、変わった軌道で執拗に回していたりするひと)を正門の近くか何かで見かけたとき、ちょっと行ってみて話しかけて、「あなたは大道芸人なんですか?」と尋ねても、おそらく多くの人が「いいえ、趣味でやっているだけです」と答えるでしょう。
 同じように、もし私が、住んでいる横浜で、たまたま白い妙な道具を2つ紫色の大きなバックパックにくっつけている姿を目撃されて、唐突に「あなたは小さいころからこれを職業的に練習しているんですか?」と聞かれたら(まだそういう人にはお会いしたことがないですが )「いや、中学生のときに友達に教えてもらって、それ以降はインターネットで調べて自分で暇なときに練習しているだけです」と答えます。

 そのジャグリングが、たとえば地域ごとに大会を持っていたり、世界大会があったり、専門の道具を売っているお店があったり、そういう状況に置かれていることはなかなか想像しにくいと思います。
 しかし実のところ、「趣味としてのジャグリング」は、結構なスピードで、日本を、そして世界を場として急速にその規模を広げているのです。
 特に日本においてその発展は目覚ましく、アメリカとかフランスとかどこでもいいですが、世界に出ていってそこらへんのジャグラーに「日本のジャグラー、誰か知ってる?」と聞けば、一人、二人くらいは大体名前が上がるし、彼らに言わせれば、私たちジャパニーズは、一様に「クレイジー」なほど上手い、とされています。
 

 コンベンション、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
 Conventionは、たとえば学術において、研究者同士が集まる会、という意味で使われたりもします。
 要するに、「テーマに携わる人が、方々から一堂に会する集会」程度のものです。
 「大会」という言い方をすることもありますが、 別に競うことが目的ではないので、順位はつきません。

 EJCは、そのコンベンションのひとつであり、世界各地で行われるものの中でも最大規模の(多い年には4000人もの人がやってくる)大会です。
 参加者の国籍の多様性も最も多いと思われます。ヨーロッパで行われるだけあって、ヨーロッパから、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、スロヴェニア、チェコ、ボスニア、ポーランド、ノルウェー、フィンランド、イギリス、リトアニア、ウクライナ、数え切れない(時間と根気さえあれば数え切れます)ほどの国からやってくる人がおり、中にはモナコ公国やアンドラ公国から来ている人だっているかもしれません。
  アジアからも、台湾、日本、シンガポール、色々な国の人が来ます。
 
 ジャグリングをする人が集まって一体何をするのか、と思われるでしょう。
 中には、ジャグラーでこれを読んでいる方の中でも、想像がつかない方さえいるかもしれません。日本では順位がつく大会の方がどちらかというと主流で、あっても、「練習会」という名の下で1日、あるいは半日、みんなで技を交換しあったりして解散、ということが多いです。
 
そんな中でこのEJCは、なんと10日間近くあります。
もはや途中で休憩が必要なくらい長いです。
期間中はテントやキャンピングカーで暮らす人が大勢います。

 今やジャグリングの世界は、広がりに広がり、日本のジャグリングも並大抵ではないレベルにのし上がっている。

 ヨーロピアン・ジャグリング・コンベンションの略。